あーとこみにてぃー@藤岡宣麗

マルチクリエイターの藤岡宣麗による作品発表です。皆様に楽しんでいただけるような投稿にしていきたいと思ってます。

bungaku museum 1 ハインリヒ・ハラー

ハインリヒ・ハラーセブン・イヤーズ・イン・チベット」(角川文庫)

 

セブン・イヤーズ・イン・チベット―チベットの7年 (角川文庫ソフィア)

セブン・イヤーズ・イン・チベット―チベットの7年 (角川文庫ソフィア)

 

 

 子供のころからの憧れで登山家になったオーストリア人であるハインリッヒ・ハラーの眼にした神秘的な国・チベットの魅力を赤裸々に書き記したノンフィクション紀行文学である。彼は英国領インドにおいて拘束を受ける羽目となるが、脱出を試みることから多大な神経や体力をいかに使っていたことかがどれ程生々しい出来事であったかは言うまでもない。必死の思いで脱獄し、たどり着いた大地が、神秘の国・チベットである。水が透き通るほどのきれいなココノール湖(後の支那青海省)にチャンタン高原(支那称・チベット高原)といった、広大な国土。ここで出会ってきた多くのチベット人の姿に、彼にとって、心に残る印象が強かったと言えよう。ヤクに乗り、テント生活を送り続ける日々を繰り返しながらも、若き頃のダライラマ十四世と出会うことが出来たことには特に心の底からうれしい思いであったはずである。この作品を読んでみると、当時のチベット人がいかに平和な暮らしでいて、現地の人々がいかに心温かく、もてなしてくれるかがわかる。ハラー氏の書き記したものの存在は非常に大きい。だが、チベット国はやがて、中国(支那)という侵略国家により、「人民解放」という名の下で、僧侶ばかりでなく女性や子供といったチベット住民が大虐殺を受け、百二十万人が殺害された。あの中国である。チベットに関して、国内問題と偽り、日本に対し偽りの虐殺を謝罪させ、更なる略奪を図ろうと、今日に至るわけである。とはいえ、中国による魔の手から逃れるために、ハラー氏は再び脱出を余儀なくし、ダライラマ法王も命からがらとヒマラヤの厳しい寒さを耐えしのぎながらも、インド・ダラムサラへたどり着くことが出来た。現在においてもチベット臨時政府が存在し、チベット発の首相も最近に登場している。

 ハインリッヒ・ハラー氏の書き残した「チベットの七年」(セブン・イヤーズ・イン・チベット)。存在は世界中で大きな波紋となっている。映画化される一方で、中国は自らのチベット虐殺を認めておらず、結果、彼らの侵略したチベット自治区において抗議運動や独立運動が後を絶えない。これを機に、同時に侵略されたウイグル地区でも独立運動が起きているのは言うまでもない。中国はチベットウイグル(東突厥となる東トルキスタン)、内モンゴルを手放し、台湾独立、尖閣日本領を認めなくてはならない。手放した後には、純粋な漢民族国家に戻るべきである。また、ハラー氏によるチベット紹介の作品から、映画監督であるマーティン・スコセッシによる作品「クンドゥン」が製作され、話題にもなった。支那によって破壊される一方で、チベット人は今日において、活動家が生まれたり、チベット文化存続のため、チベット仏教や魅力、言語や食品等の民族文化の紹介に尽力し、ダライラマ法王も現在において、チベット人保護を訴えている。漢族化政策を強いる中国のやり口に決して屈することはなく、チベット人は必死の想いは強い。そして、ダライラマ法王とハインリッヒ・ハラー、二人の友情は永遠であることは言うまでもない。チベットに、希望の魂は永遠であるから。

人物・ハインリッヒ=ハラー ダライラマ14世/SEVEN YEARS IN TIBET