堤清二の遺したセゾンというエートス
かつて栄華を誇ったセゾングループ。堤清二が巨大グループとして成長させていったが、グループは崩壊し、分裂していった。とはいえ、堤清二本人はこの世を去っても彼の想いは絶えることはない。堤家での確執やグループ内に生まれた｢ユダ」による分裂、かつてのグループ会社へのライバルグループによる買収攻撃や統廃合、破産に遭いながらも、セゾングループは生き続けている。堤清二本人の不断の努力が実っている証である。また、財界内の見えない空気や体育会的な体制をことごとく破壊したのには大いに評価されるべきである。最近で起こる過労死は体育会系な体制も一つの原因であり、既存の体育会系体制の企業は恥を知るべきであるが、現場主義や大卒採用、労働組合等を生かしたアイデアは長短あるもの、堤清二の残した実績は大きい。また、詩人小説家の顔も持っており、文化の空間構築は経済界を圧倒させたのである。だが、財界の愚かな政策により、現代に起きている社会問題は絶えない。そんな世の中において、セゾングループの築き上げた足跡は現代社会の問題に対する大きな一石を投じたといえよう。知性を放棄した社会を浄化させるためにも。そして失われた個々の豊かさを取り戻すためにも、セゾングループの復活とまでは行かなくとも、新たにセゾングループのエートスを持った個々や組織が誕生することを願って。
